私は興奮して震えながら、左利きなのに左手首につけた。

8月下旬、マットが大学に行く前夜、私は彼が荷造りをしているベッドルームに入った。ダーラムにあるニューハンプシャー大学に行くのに車で45分しかかからないのに、当時はもっと遠くに行ってしまうような気がしていた。私は泣くのを必死に我慢した。彼がいなくなると、とても寂しくなるからだ。

 そして、彼がスウォッチをしていないことに気づいた。これは驚きだ。

 私は戸惑いながら立っていた。そして「マット、君の時計はどこにあるの?」 と尋ねた。

 まるで合図のように、彼はニヤリと笑ってポケットから時計を取り出した。「お前に持っていてほしいんだ」

「ああ、マット。それはできないよ」

「いや」と、彼は私の手にそれを置くと言った。「それは今からお前のだ。つけてみて」

 私は興奮して震えながら、左利きなのに左手首につけた。

 彼がつけていたように、私もルーズにつけてみた。

私の高校1年目は非常につらかった。なじむのに苦労した。いじめられたことを蒸し返すのではなく、その年の私の個人的なハイライトをお話したいと思う。

 私は秋のゴルフチームの控え選手だった。実際にプレーすることはなかったが、チームのために貢献した。試合中、私はTコーチの隣に立ち、Tコーチはクリップボードにチームの全選手のスコアを書き込んでいた。たまに、「ウェイド、今何時だ?」と聞かれた。

 私はスウォッチの時計に目をやり、正しい時間を伝える。

 するとTコーチは私の肩を叩いて「ありがとう」と言う。

 それは私をとてもいい気分にさせてくれた。ゴルフの試合を見逃さなかったし、Tコーチに時間を聞かれてもあわてなかった。真のハイライトだったし、すべてはマットのスウォッチのおかげだった。

 両親は私が兄に会いたがっていることや、高校ではクールになれないことを察し、私に何かいいことをしてくれようとしていた。2月の学校の休みにフロリダに旅行に連れて行ってくれたのだ。もちろん、スウォッチも一緒に。

 オーランドに滞在した私たちは、週の初めにウィンターヘイブンという町に車を走らせ、レッドソックスのスプリングトレーニングキャンプを訪れ、選手たちのバッティング練習を見学した。

 私は両親と一緒に観客席に座っていたが、ふと見ると、少し離れたところに座ってホットドッグを食べているがっしりした年配の男性がいた。それは、ソックスのゼネラルマネージャー、ルー・ゴーマン(Lou Gorman)氏だった。母が「何か声をかけてみたら」と言ったので、私は声をかけた。

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